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TRES ATHLETE CHALLENGE DOCUMENT BASKETBALL:003

Hayato Kantake 寒竹 隼人

PROFILE

1986年8月1日生まれ。福岡県出身。B.LEAGUEの仙台89ERS所属。背番号は12。ポジションはSF。194cm、89kg。中学入学後にバスケットボールを始め、福岡大大濠高校、拓殖大学へと進学。2007年にはユニバーシアードに出場し、ベスト4となる。大学卒業後、2009年にトヨタ自動車(現:アルバルク東京)に入社。2011年、bjリーグドラフト会議にて、全体2位で岩手ビッグブルズに指名され入団する。その後、京都ハンナリーズ、岩手ビッグブルズを経て、2016年に島根スサノオマジックへ移籍。いきなりキャプテンを任されるも、開幕直前に膝の靱帯を損傷。シーズン絶望と言われながら名ドクターとの巡り合わせなどもあり、ホーム最終節で復帰。チームのB1昇格に貢献する。2017年大阪エヴェッサ、2018年琉球ゴールデンキングスと所属した後、2020年に仙台89ERSへレンタル移籍。2021年に仙台へと完全移籍を果たした。プロ13シーズン目。

| Episode1 |

「 進路を決めるときは、挑戦しがいがあるほうを選ぶ。」

人は生きていく上で、いろんな決断を迫られる。チームスポーツのアスリートにとっては、所属チームの選択は大きな決断となるだろう。そんな場面に立たされたとき、必ず「より挑戦しがいがあるほうを選ぶ」のが仙台89ERS・寒竹隼人だ。プロバスケットボール選手として13シーズン目を迎えた彼が、どんな挑戦を選び、どのような経験を積んできたのか。彼がこれまで歩んできたキャリアを追いかけてみた。

― 「チャレンジ」は僕が人生においてめちゃくちゃ大事にしていること。これまでのキャリアで様々なチームに所属してきましたが、移籍先のチームを決める際、どんなチャレンジができるかを常に考えるようにしてきました。もちろん、プロのスポーツ選手である以上お金の面も重要です。でも僕はやりがいを感じられないと力を出せないタイプだから「何のために移籍するのか」を最優先に考えてきました。

リーグ優勝やB1昇格など、チームとしてどうしても成し遂げたいことがある。その上で僕を必要としてくれるチーム、チャレンジができるチームに行きたい。常にそう考えてきました。言い換えればどれだけ強いチーム、サラリーが良いチームでも、そこにチャレンジがなかったら選ばない。そう言えるくらいこれまでの競技者人生では、より挑戦しがいがある環境に身を置くようにしてきたんです。

そんな自分の経験の中でも大きかったのが最初に移籍した2011年。大学卒業後すぐに所属したトヨタ自動車からbjリーグ参入1年目だった岩手ビッグブルズに移籍したときです。

もともと在籍していたトヨタ自動車はリーグ有数のトップチーム。すべてが揃っている環境でした。いま思い返すと当時はただバスケットボールをプレイできればいいと思っていて、ファンやスポンサーのことを考えきれていなかったかもしれない。

一方、移籍先の岩手ビッグブルズはbjリーグに参入したばかり。立ち上げ間もないチームで、さらに震災直後という状況。地元の人が試合に来てくれないと死活問題。ファンもスポンサーも、何もない状態からのスタートだったんです。

そうやって環境が激変して考えるようになったのが「プロスポーツ選手としてどうあるべきか」ということ。自分たちの存在意義って何だろう、プレーする意味って何だろう、プロスポーツ選手の在り方って何だろう…当時はまだ20代前半でしたが大きく環境が変わったことで、プロスポーツ選手としての自覚を持てた気がします。

| Episode2 |

「 プロスポーツ選手の存在意義は、プレーで人の心を動かすこと。」

2011年、bjリーグに参入したばかりの岩手ビッグブルズに移籍した寒竹。何もないゼロの状態からチームをつくりあげた経験は、彼がプロとしての在り方を考える上で大きな財産になったという。そんな岩手ビッグブルズに在籍した中でも特に印象に残っているのが、東日本大震災からちょうど1年後、2012年3月11日にホームコートで行われた試合。当時地区1位だった大阪エヴェッサとの試合を通じて、彼は何を感じたのか。

― 岩手ビッグブルズで僕はプロスポーツ選手としての在り方を学びました。今でも大好きなチームで思い出もたくさんありますが、なかでも印象に残っていることがあって。それが東日本大震災からちょうど1年後、2012年3月11日に行なわれた試合です。

そもそもこの試合は、開催すべきなのかギリギリまで判断に迷ったんです。震災から1年というタイミングでバスケの試合をしていいのか。不謹慎じゃないのか。チーム関係者で何度も話し合うなど本当に悩みました。でも最終的に自分たちの存在意義を改めて考え直して。そこで「プロスポーツ選手は試合を見てもらい、生きる活力を持ってもらうことこそが存在意義だ」という声があがり、試合の開催が決まったんです。

迎えた試合当日、会場に入った瞬間、いつもとは全然違う雰囲気を感じました。震災からこの日まで1年間を過ごしてきた中でファンのみなさんもそれぞれ想いがあったと思います。試合を見に来ていても心のどこかに感じるものがあったはずです。

「これはすごいぞ」「ただごとじゃない」そんな空気を、僕らも試合前のアップの時から肌でビリビリ感じました。試合前の黙とうでは、感情が高ぶって涙を流している選手もいました。会場全体から見えない力をもらうというか、本当にすごい空気を感じていたんです。

とはいえ対戦相手は西地区1位だった大阪エヴェッサ。参入1年目だった僕らは断トツ最下位。この試合をやると決めてから相当な準備を進めてきたものの、前日の試合も負けてしまっていました。ところがこの日はチームも嚙み合ってすごく良い展開で、終盤までずっと競っていって。そしてなんと残り数秒で逆転!1点リードで勝てる!となったんです。

しかし最後の最後、ファウルで大阪にフリースローを与えてしまいました。

もう残り時間もなく、相手チームの選手がフリースロー2本を打つだけ。スコアは1点差。正直、負けたと思いました。そのとき、奇跡が起きたんです。岩手ファンの会場が揺れるくらいのブーイングに相手選手が飲まれ、フリースローを2本とも外してしまったんですね。まさに劇的な勝利!勝てるはずのない相手から勝利をつかみ取り、会場中がめちゃくちゃ盛り上がりましたし、選手全員あたりはばからず涙、涙で…。

試合後の会見で、大阪のエースだった青木選手も「会場の雰囲気に飲まれた」と話していました。それだけすごい一体感でしたね。これがスポーツの力なんだ。プレーで人の心を動かすのが僕らの存在意義なんだ。この試合を経験して、プロスポーツ選手だからできることを再認識できた気がします。

| Episode3 |

「 2021-22シーズンのナイナーズは、絶対に大丈夫だ。 」

自身のチャレンジのため、様々なチームへ移籍してきた寒竹。2020年に仙台89ERSへレンタル移籍となった彼は、2021年に完全移籍。背番号も「12」に戻し、新たなチャレンジをスタートした。仙台89ERSが悲願とするB2優勝、B1昇格に向けて、彼に期待される役割は小さくない。そんな寒竹だが、2021-22シーズンの仙台89ERSにかなりの手応えを感じているのだそう。ここ数年のチームと比べて、何が違うのだろうか。

― 最終的にすごいチームになる。それが、今シーズンのナイナーズに感じている正直なところ。プロになってから様々なチームを経験してきましたが、今まで感じたことがない手応えがあります。みんな真面目で、とにかく純粋。練習の時から毎日110%、120%を出しきっていて、コーチのセオさん(藤田弘輝ヘッドコーチ)が求める理想に近づこうと全力で取り組んでいるんです。だからこそ断言したいです、今シーズンのナイナーズは絶対に大丈夫だって。

シーズンは長いからチームがどうなっていくかはなかなか分かりません。でもこれまで様々なチームでプレーしてきた自分の目から見ても、外国籍選手を含め練習からここまでみんなが全力を出しきっているチームってそんなにないです。だから今シーズンのナイナーズには、今まで感じたことがないくらい自信を持っています。

一方でファンのみなさんの気持ちも分かります。シーズン序盤で2敗したこともあり「本当に大丈夫?」と感じている方もいるでしょう。でもその敗戦にも僕らが学ぶべきことがあったし、負けた理由もちゃんと分かっています。成長しないといけない部分があったから負けたんです。

チームの誰かが適当なことをして崩れて負けたのではなく、チームとしてやろうとしたことをやりすぎた故に視野が狭くなり、判断が悪くなってしまっての敗戦でした。だから修正さえすればチームとしてもう一つ上のレベルを目指せる。そんな実感があるからこそ「大丈夫」って言えるんです。

個人の目標としては、シーズンを通してディフェンスのインテンシティを落とさないこと。年齢的にも常に100%で動き回ることは難しくなってきましたが、自分なりにインテンシティを最大限高め、ディフェンス面でリーダーシップを発揮していきたい。例えばボールマンと自分との距離感、ヘルプポジションの位置取りを半歩、一歩レベルで完璧に行なう。相手選手がシューターかスラッシャーなのかなどタイプによって細かな調整を行う。それらを高い精度でやりきるのが個人としてのチャレンジです。

今シーズンのナイナーズは、覚悟が違います。絶対にB1昇格を果たします。それ僕だけでなく各選手の表情を、一つひとつのプレーを見ていても伝わるはず。そんな僕たちの覚悟を、ぜひ会場で感じてほしい。そして聞いてみたいですよ「今シーズンのナイナーズを観て、いつもと違うって感じましたか?」ってね(笑)。

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